むなしさに襲われる夕暮れどきに(詩⑧2020年9月)

さみしさを抱え

 

 

誰によっても
何によっても
癒やされえない
このさみしさだけが
ほんとうだ

宇宙にたったひとつきりの
さみしさを抱え
街から街へと
歩いていく

 

ナスにも飽きた

 

ちょうど小説を読み終えたころ
日が暮れて

ぼくは何のために
生まれて来たんだろうか

久しぶりのむなしさが
くらしと暮らしの狭間に
吹き込んだ

風のくせに やけに重たい
そいつを 受け流し

ナスに飽きた舌をも
満足させる
ナス料理をつくるべく
台所へ向かう

心配ナス
ぼくは生きてゆける

 

 

このやわらかい布団の上に

 

 

どこからか迷い込んで来て
しまったような
魂が

それでも

この柔らかい布団の上に
寝転んでいる

しあわせそうに
まるで故郷に
いるかのように

 

 

ひとに理解されるより

 

 

ひとに理解される
そんなことより

あったかい白飯に
明太子のせて
かきこみたい

 

 

浮雲ちゃん

 

 

こんな日もあるさ
ただそう言って

浮雲に過ぎない自分を
吹き飛ばしてやれ

どうせ
つぎから次へと
流れてこようぞ

 

 

味噌とむなしさ

 

 

学校から帰ってきて
一人ゲームに熱中する

台所から野菜を切る音が
きこえてくると

ぼくは急に
つまらなくなって、
それでも意地で
ゲームを続ける

そんなむなしさは
大人になったぼくが感じる
むなしさと きっと
なにもかわらない

生活と むなしさは
うらおもてだ

むなしさには
たぶん
味噌の香りが
似合うだろう

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ABOUTこの記事をかいた人

20代。早稲田大学を卒業。大学時代に生きることに悩み、哲学書・宗教書・文学書を読み漁った結果、頭だけで考えても仕方ないと悟り、臨済禅の坐禅道場で参禅修行を始める(4年間修行)。 2020年に(カトリック)教会で洗礼を受ける。 路上お悩み相談(コロナ禍によりお休み中)や、SKYPE相談・雑談、コーチング、生きねば研究室など、一対一の本音で対等な関わりを大切に、自分にできることをほそぼそとやっています。