さみしさを抱え
誰によっても
何によっても
癒やされえない
このさみしさだけが
ほんとうだ
宇宙にたったひとつきりの
さみしさを抱え
街から街へと
歩いていく
ナスにも飽きた
ちょうど小説を読み終えたころ
日が暮れて
ぼくは何のために
生まれて来たんだろうか
久しぶりのむなしさが
くらしと暮らしの狭間に
吹き込んだ
風のくせに やけに重たい
そいつを 受け流し
ナスに飽きた舌をも
満足させる
ナス料理をつくるべく
台所へ向かう
心配ナス
ぼくは生きてゆける
このやわらかい布団の上に
どこからか迷い込んで来て
しまったような
魂が
それでも
この柔らかい布団の上に
寝転んでいる
しあわせそうに
まるで故郷に
いるかのように
ひとに理解されるより
ひとに理解される
そんなことより
あったかい白飯に
明太子のせて
かきこみたい
浮雲ちゃん
こんな日もあるさ
ただそう言って
浮雲に過ぎない自分を
吹き飛ばしてやれ
どうせ
つぎから次へと
流れてこようぞ
味噌とむなしさ
学校から帰ってきて
一人ゲームに熱中する
台所から野菜を切る音が
きこえてくると
ぼくは急に
つまらなくなって、
それでも意地で
ゲームを続ける
そんなむなしさは
大人になったぼくが感じる
むなしさと きっと
なにもかわらない
生活と むなしさは
うらおもてだ
むなしさには
たぶん
味噌の香りが
似合うだろう
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