主とともに(詩⑤2020年4月②)

 

とんでゆく

 

この私の世界は
主と 私と
数人の死者たちだけの
ひみつの
ぜいたくな
食べものだった

私の魂は
ただ 自由に
歩いてゆけば良いのだ
彼らと一緒に。

夕焼け空をとびゆく
カラスの編隊飛行のように

あの山の彼方に
むかって

生きよう

 

 

 

私は世界を充満する

 

 

あなたを信じて歩むとき
私の一歩は みずうみの面を
歩くようで

音のない世界には
車がはしり 工事の音が鳴り止まぬ

私は世界を充満するから
誰も なにも
ここにはいない

ただ みんなが
生きている

 

 

歩いてゆく

 

 

人びとのおしゃべりと
くだらない評論と
下品な笑い

沈黙に抱かれて
ただ ひとり
歩いてゆこうとする

 

 

からっぽ

 

 

だれと会って  何をはなしても
満たされない  空っぽ

そんなはずはない
これ以上  この世には

空っぽ

この空っぽは
悪いものなんでしょうか
良いものなんでしょうか
なにか 使いみちがあるんでしょうか

わからないけど

昨日も  きょうも 空っぽ

空っぽだ

せめて

この空っぽは

空っぽのままに。

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

20代。早稲田大学を卒業。大学時代に生きることに悩み、哲学書・宗教書・文学書を読み漁った結果、頭だけで考えても仕方ないと悟り、臨済禅の坐禅道場で参禅修行を始める(4年間修行)。 2020年に(カトリック)教会で洗礼を受ける。 路上お悩み相談(コロナ禍によりお休み中)や、SKYPE相談・雑談、コーチング、生きねば研究室など、一対一の本音で対等な関わりを大切に、自分にできることをほそぼそとやっています。